風呂から出て。
ふと浴室の扉を見ると、何やら黒い影。
眼鏡を掛けていなかったことと風呂上がりの立ち眩みが相俟って、殆ど何も見えず。
余計に恐怖を掻き立てる。
敏捷に右へ左へ動いた影は物陰に隠れる。
眼鏡だけ掛け、そして見る。
ゴキブリが一匹、裏返っている。
丸めた新聞紙で、叩く。
敵は体制を整えて襲いかかる。
数分間の格闘の後、敵は天に召された。
安心するのは早かった。
数分の後、蜘蛛が現れた。
「家蜘蛛は殺すな」などと言うが、関係ない。
応戦。
こちらも素早かった。
結局、逃してしまった。
今なお奴が家にいると思うと、ゾッとする。